1日目

    
ちょっと試験的にメモ。


「あれ生理ナプキン焼いてるのよ」
「へえ」と僕は言った。それ以外になんと言えばいいのかよくわからなかった。
「生理ナプキン、タンポン、その手のもの」と言って緑はにっこりした。「みんなトイレの汚物入れにそういうの捨てるでしょ、女子校だから。それを用務員のおじさんが集めてまわって焼却炉で焼くの。それがあの煙なの」
「そう思って見るとどことなく凄味があるね」と僕は言った。
「うん、私も教室の窓からあの煙を見るたびにそう思ったわよ。凄いなぁって。うちの学校は中学・高校あわせると千人近く女の子がいるでしょ。まあまだ始まってもいない子もいるから九百人として、そのうちの五分の一が生理中として、だいたい百八十人よね。で、一日に百八十人ぶんの生理ナプキンが汚物入れに捨てられるわけよね」
「まあそうだろうね。詳しい計算はよくはわからないけれど」
「かなりの量だわよね。百八十人ぶんだもの。そういうの集めてまわって焼くのってどういう気分のものなのかしら?」






村上春樹『ノルウェイの森』上巻